ピリングとは、
(PILLING)生地の表面が摩擦されて毛羽立って絡み合い、小さな球状の毛玉(ピル)を生じる現象です。
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(1) その発生原理は、生地を構成している繊維が摩擦によって引き出され、
これが互いに絡み合い玉状になります。これが「毛玉(ピル)」です。 -
(2) 毛玉は、綿等の天然繊維でも起きますが、「目立ちにくく」ほとんど問題になりません。
それは、繊維が比較的弱いため、毛玉ができても、摩擦によって自然に擦り切れて
落ちてしまい、毛玉として表面に残らないこともあるからです。 -
(3) しかし、ポリエステル等の合成繊維では多数の毛玉が発生しやすく、
見た目を損なうことがあります。
これは、合成繊維の「繊維強度」が天然繊維に比べて強いため、
容易に脱落しないからです。 - (4) 毛玉は、一般的には、「織物」より「編物(ニット)」の方が、出やすいです。
- (5) 「織物」の中では、一般的に「平織(ブロード)」より「朱子織(サテン)」の方が、出やすいです。
【ピリングの試験について】
- (A) JIS L 1076 A法(I.C.I法) 織物(10時間) 編物(5時間)
- (B) 本試験は、生地の毛玉の生じ易さを調べるものです。
- (C) 数値は、「1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5級」の9段階で、5級が優秀です。
※ 目安値としては、「3級」
(下記の理由により、ポリエステル品、起毛品は別の判断が必要) - (D) ポリエステルやその混紡(T/C)生地では、ポリエステルの毛玉が核となり脱落しないので、
使用頻度とともに増加する傾向が高く、避けられない問題です。
(一般的には、3級以上の結果は少ないと考えられます。 - (E) 起毛生地(コットンフランネルなど)は、もとから毛羽が立っているので、
擦れば互いに絡み合い、毛玉が生じ易いのもなので、数値の評価より生地表面の程度を
考慮するべきと考えられています。
試験機 (写真提供:ボーケン)
<参考> 当社の商品
品 名 | 等 級 | 組 成 | ||
<54000>ソフィア |
3級 | ポリエステル | 編物 | 起毛品 |
<80150>ポップワッフル |
5級(優秀) | ポリエステル | 織物 | |
<62000>ダブルガーゼ |
3級 | 綿 | 織物 | |
<55800>ワイドスイングクロス |
5級 | 綿 | 織物 | ブロード |
<56700>プレミアサテン |
2.5級 (上記(5)参照) |
綿 | 織物 | サテン |
<77000>コットンスムース |
2級 (上記(4)参照) |
綿 | 編物 |
【 デメリット表示例 】
生地の特性上、摩擦により、表面が毛羽立つおそれがあります。